地球上で最も黒い物質 “ベンタブラック®”

地球上で最も黒い物質 “ベンタブラック®”

H.モーザーは2018年に、文字盤全体にベンタブラック®と呼ばれる、現在地球上で最も黒い素材を採用した時計”エンデバー・ムーン”を発表しました。これまでこの素材を一部分だけに使用した時計は存在しましたが、文字盤全体に使用したのはH.モーザーが初めてのことです。ロゴやインデックスを排してもH.モーザーだと認識できる”コンセプトデザインだからこそ、漆黒の佇まいが一層引き立たせることができると言えるでしょう。そして2019年、よりミニマルなデザインのベンチャー・コンセプト ベンタブラックを発表。現在H.モーザーのアイコンとなっているフュメに続く、ブランドの顔となる存在としてますます目が離せません。

しかしながら、そもそもベンタブラックとはどのような素材なのでしょうか?

イギリスの研究機関から発展したハイテクノロジー

※Youtubeより転載

VANTA = Vertically Aligned NanoTube Arrays( 垂直に配列されたナノチューブの配列)の頭文字から成る言葉で、その名の通り無数のナノチューブの集合体からできています。

たとえば数キロもの高さがある木々が森林のように集まったとすれば、その最下層にある地面は完全に闇に包まれ、その上空から地面を捉えることはできないでしょう。ベンタブラック®は、それぞれが原子レベルの大きさである中空のカーボンナノチューブの「森」でできています。言い換えれば、1平方センチメートルには約1億個のナノチューブが含まれることになります。光が跳ね返るのではなく、ベンタブラック®でコーティングされた表面に当たったとき、光の99.965%が吸収され、このチューブの森の中で「キャッチ」され、逃げることができません。

地球上で最も黒い物質 “ベンタブラック®”
Credits: Surrey Nanosystems 原子レベルで捉えたカーボンナノチューブの「森」

ベンタブラック®は著名な彫刻家アニッシュ・カープア氏が自身の作品のトレードマークとして使用していることがよく知られていますが、安易に入手できるものではありません。天体物理学の研究として望遠鏡に使用し、遥か遠くの星の光をキャッチしたり、軍事的にはカモーフラジュ技術への応用に使われています。H.モーザーは幸運にもこの素材を扱える権利を得ていますが、非常にデリケートな素材のため運搬や作業にも細心の注意が必要で、その仕事に従事できる人物や時計師は限られており生産数も極めて極小です。ダイヤモンドやゴールドよりもはるかに価値が高い!と話す人もいますが、それを信じるかどうかは実際に正規販売店でベンタブラック®をご覧になってください。

地球上で最も黒い物質 “ベンタブラック®”
2019年に発表したコンセプトデザイン モデル。レッドゴールドケースにケースと同色の2針が良く映えます。
地球上で最も黒い物質 “ベンタブラック®”
2018年に50本限定で発売した、最初のベンタブラック®搭載モデル。H.モーザーの高精度なムーンフェイズが漆黒に浮かんでいるように見えて美しいコントラストが特徴。
©East Japan Co.,Ltd